誅魔忍狭霧の屈辱
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 雨野狭霧は敗北していた。
 誅魔忍として妖怪退治の任務を受け、人々に害を成す老魔と戦うも、予想外の強さに手も足も出せなかったのだ。
 霊装結界の術により、装着したラバースーツは肌にぴったりと沿っている。乳房の張りと丸みをよく浮きたて、豊かな尻の割れ目に至るまでが如実となっている姿は、いかに露出度が低いといってもある意味では全裸と変わらない。
 それがちょうど、尻と乳房を丸出しにするよう破け、アソコの割れ目も見えている。他のあらゆる箇所も損壊して、内側にあった素肌が露出している。
 ダメージを霊装に肩代わりさせる術の効果が、いかなる怪我も防ぐ代わりに、みるみるうちに露出度を上げた結果だ。
 あともう少しで、肌の露出度が五割に達するであろう損壊度は、ピンポイントに恥部を丸見えにするだけ、下手をすれば全裸よりも恥ずかしい。
 狭霧はそんな有様だ。
「ほっほっほ! 気持ちええのぅ」
 満足そうにしている老魔は、一見すると骨と皮だけの痩せこけた老人だ。頬や顎の肉まで少ない顔は、顔というよりただの頭蓋骨に見えるほどで、頭からは白髪が生えている。小柄で背骨の曲がった猫背姿は、どう見繕っても欠片も強そうな妖怪ではない。
 そんなことは見た目の話で、数百年間に渡って積み上げられた霊術は、狭霧などでは到底対処できないほど強力だ。

 そのせいで、狭霧はフェラチオをしていた。

 肉体を操作されているのだ。
「んっ、んっぶぅ……」
 洞窟の巣に連れ込まれ、布団で仁王立ちする老魔へと跪き、年老いた肉棒を咥えている。
(くっ! 私がこんなことを!)
 断じて許すまいとする眼差しは、リング状に大きく広がる唇でしごきながらも、視線だけで睨み殺そうとする勢いである。肉体操作の術さえなければ、ひいては狭霧の実力さえ足りていたなら、事実こんな変態妖怪は生かしておけない。
 狭霧の感情は老魔への怒りだけではない。
(なんて不甲斐無いことだ)
 どう肉体操作の術に抗おうとも、体が思い通りに動かない。肉棒の角度を支えるため、両手が竿の付け根を優しく握り、頭を前後に振ってしまう。舌で亀頭を刺激して、時折手コキのようなこともしてしまう。
 いかに相手の術であろうと、絵的に見れば狭霧の献身的な奉仕と映る。
 自由になるのは、表情を動かす筋肉と、目つきを変える目元周りの稼動くらいだ。
(己ぇ……! どうして私が貴様のような妖怪に!)
 狭霧は亀頭と口付けを交わしていた。

 ちゅっ、ちゅぅっ、チュッ――

 キスの形に窄まる唇が、鈴口と何度も触れ合う。
「ふぉっふぉっふぉ! 上手じゃのう?」
 老魔は勝ち誇った笑みを浮かべて、それが狭霧の怒りを煽るとわかっていながら、わざとらしくよい子よい子と、まるで幼子を褒めたいばかりの頭の撫で方をしてくるのだ。

 ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ――

 今度は執拗に舐めさせられた。
「よい舐めっぷりじゃ! よい舐めっぷりじゃ!」
 鈴口に浮かぶカウパーを掬い取ろうと、上下に動く舌先は、可能な限りまっすぐ伸びて亀頭に唾液を与えている。
(……悔しすぎる!)
 玉袋の部位から亀頭にかけて、直線的に伸びている筋の部分をレロォォォっと舐め上げ、舌が鈴口に到達すればペロペロ舐める。
 数秒、ペロペロ。
 またレロォォォォっと舐め上げて、次は二十秒近くに渡り、上下に舐めるだけでなく、尿道口の周りをぐるりと何週もかけてなぞる刺激を与え、下に戻って舐め上げる。

 レロォォォォ……レロォォォォ……レロォォォォ……

 舌を筋に沿わせる舐め上げが、幾度に渡って執拗に繰り返された。亀頭先端というゴールに着くたびに、肉茎と睾丸の境目にあるスタート地点に移り、鼻が竿にくっつくほどに舌一面をべったりと貼り付けた状態でゴールを目指す。
「はむぅぅ……」
 睨み殺したいような上目遣いで、深く咥え込んだ唇で前後にしごく。
「ふぉっふぉ! ワシを退治しに来たはずが悔しいのぅ?」
(貴様ぁぁ!)
「そんな顔をするならの。いっそ噛み切ってはどうじゃ? ふぉっふぉ」
(それができればそうしてやる!)
 顎に力を加えようと試みるが、悲しいほど狭霧の望み通りには筋肉が稼動せず、口奉仕のためだけに舌も唇も動いていく。
「できんのぅ? 悔しいのぅ? 上手じゃのぅ?」
 未経験の狭霧に技巧も何も無い。老魔がそのように肉体操作しているだけだ。さも狭霧自身の口技であるような言い回しも、煮えくり返って仕方が無い。
(己! 何故私は負けたんだ!)
 深い自戒の念を抱き、舌を蠢かせる口技を織り交ぜる。
(本当に私としたことが! どうにかならないのか!)
 噛み切ろうとする試みが諦め切れず、何度でも顎の筋肉に神経を集中するが、狭霧の意思を無視したフェラチオは、決して中断されることがない。
「ちゅぶぅ――ちゅむっ、んじゅるぅぅ……」
 ヨダレの音をよく鳴らし、卑猥な音色を洞窟に反響させる。
「ちゅぅぅぅぅぅ――」
 前後する頭が後方へと、亀頭の先端だけを吸い取る位置へ到達すると、一時的に止まって汚らしく吸い上げた。
 それが、また数秒。
 前後運動に戻り、丸く広がる唇のリングは延々と、何分もかけて末永く肉竿の表面を往復すている。
「ぢゅぅぅ――ちゅるぅ――んっぷぅ……はぶぅぅ――」
 ヨダレを鳴らす水音は、主に頭を後ろへ引くときに、口内で息を吸い上げる際に鳴り、あとはプチンと唾液の泡が弾けるかすかな音が混じっている。

 ――ちゅっ、

 キスへと戻り、唇と鈴口の触れ合う時間が十秒以上はキープされた。
 そして――。

 ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ――

 丹念に舐め込む時間となり、味わいたくもない先走りの透明汁が舌に染み込む。
(どれだけ奉仕を強要しようと、私は決して折れてはやらんぞ!)
 老魔と視線を重ねる上目遣いには、必ず逆転しようと胸に誓った決意の火が、凛とした瞳によく現れていた。
 悔しそうに意地を張り、そんな表情のまま舌遣いに励んでいた。

 れろぉぉぉぉ……ぺろぺろぺろ――

 玉袋の部位から亀頭にかけて、直線的に伸びている筋の部分をレロォォォっと舐め上げ、舌が鈴口に到達すればペロペロ舐める。

 れろぉぉぉぉ……ぺろぺろぺろ――
 れろぉぉぉぉ……ぺろぺろぺろ――
 れろぉぉぉぉ……ぺろぺろぺろ――

 狭霧は決して、老魔に対する怒りと殺意を心の中で緩めない。
 ただ、こんな情けない奉仕をしている無念から、その悔しさは時折自分自身の実力不足へ向けられるが、瞳に浮かぶ感情の移り変わりは、悔やみや怒りに、それから老魔などと肌を接触させることへの嫌悪ばかりだ。

 レロォォォォ……レロォォォォ……レロォォォォ……

 舌を筋に沿わせる舐め上げが、幾度に渡って執拗に繰り返された。亀頭先端というゴールに着くたびに、肉茎と睾丸の境目にあるスタート地点に移り、鼻が竿にくっつくほどに舌一面をべったりと貼り付けた状態でゴールを目指す。

 レロォォォォ……レロォォォォ……レロォォォォ……
 レロォォォォ……レロォォォォ……レロォォォォ……
 レロォォォォ……レロォォォォ……レロォォォォ……

 とっくに三十分以上はフェラチオに時間を使っている。もしかしたら一時間を過ぎているかもしれない。時計もないのにわかりはしないが、とにかく長時間に渡っていた。
「あむぅ……」
 また咥え、頭を前後に動かし続ける。
(たった一秒でいい。一秒でも術が解ければ、その一瞬で噛み切ってくれる!)
 最後まで噛み切ることを諦めない狭霧は、忍術による意識集中で顎に力を入れようと、咥える最中はずっと試み続けていた。
「むぶぅ……! じゅじゅっ、るちゅぅ……ちゅちゅぅぅ……!」
 たったの一瞬でさえ、噛み切ることへの意識を緩めなかった。
 それでいて、狭霧の試みが達せられることはなく、老魔が射精に至るまで、自分の力でフェラチオを中断することはできなかった。

 ――ドクゥゥゥ! ドクドクゥゥゥ! ビュルルン!

 青臭い白濁が撒き散らされ、頬の内側が精液によってコーティングされてしまう。下顎の中には白い水溜りが出来上がり、肉体操作によって老魔の精子を飲まされた。
「どうじゃ? どうじゃ? ワシの濃いもんを呑んだ感想は」
「……最悪だ!」
 狭霧は強く怒鳴り返した。

     ***

 老魔の精液には媚薬効果があり、飲んで数秒もしないうちに体が火照る。熱くなった肉体は薄く汗ばみ、女として淫らに喘ぐためのスイッチが、狭霧の意思とは関係無しに、老魔によって強制的に入れられていた。
「くうぅぅぅ!」
 布団の上に押し倒され、狭霧は全身をまさぐられる。
「ええのう? お主の肉体は」
「貴様の指は最悪だ!」
「そうかのう? そうかのう?」
 皺の入った骨と皮ばかりの手の平が、狭霧の両胸を揉んでいる。耳穴をくすぐるような舌先も伸びてきて、おぞましい唾液が塗り込まれる。
「やめろぉぉ……!」
 肌の粟立つような気持ち悪さに狭霧は顔を引き攣らせた。
 変態でしかない老魔は顔も醜く、背骨の浮き出た猫背、骨ばった細い指先といい、女としては生理的拒否反応しかありはしない。そんな老魔に揉みしだかれ、耳をよく舐めてもうらうのは、ナメクジにでも這われる方がマシなほどのおぞましさだ。
 いっそ、接触した部位から腐食が広がり、自分の肉体全てが薄黒い腐敗物に変化していくような錯覚を覚えるほど、気持ち悪くて気持ち悪くてたまらない。
 それでいて――。
「くあぁぁぁ!」
 乳首をつままれたことによる電流で、狭霧は確かに喘ぎ声を上げていた。
「感じるのぅ? 気持ちいいのぅ?」
「だ、誰が――あぁぁぁ!」
 気持ち悪くて、気持ちいい。
 相反する状況に、それでも狭霧は老魔を睨み、たった一秒でもいいから体が自由に動くタイミングは有りはしないかと逆転を狙っている。
「ほれほれ」
 下弦から持ち上げるような揉み方で、たっぷりと指を沈めて乳房を揉み、丸い表面をかすかに撫でる。
「んっ! んんん!」
 真っ直ぐ伸ばした指先で、乳輪をぐるぐるなぞり、つまんで引っ張り押し込んで、好きなように玩具にする。
「あーんとしおれ」
「あっ……!」
 狭霧の口は大きく開き、そこへ老魔のねっとしとした舌が迫った。
 ディープキスをするつもりだ。
(やめろォ! く、来るな! 来ないでくれ!)
 ファーストキスを奪われる危機に戦慄するが、肉体操作は狭霧の抵抗を一切にかけて封印している。顎や舌まで操作されれば、自由になるのは目つきだけだ。
 丸く開いた老魔の口から、唾液を垂らした舌先が、みるみるうちに接近している。
(嫌だぁぁぁ!)
 狭霧の口も丸々開き、自らキスをねだらんばかりに舌が真っ直ぐ伸びている。

 つん、

 と、舌先がつつき合った。
 これが恋人同士であったなら、さぞかし甘いキスだったわけなのだろう。老魔の舌と狭霧の舌は、じゃれ合うようにぶつかり合い、そのまま唇まで重なり合う。肉体操作のせいで、狭霧自身の方からも、相手の唇を激しく貪り、濃密なキスシーンが展開された。
(私がこのような者と口付けなど!)
 老魔の舌は、上下ともどもの前歯をなぞり、歯茎の表面にある粘液まで舐め取っていく。
 狭霧の老魔の口内を味わいつくし、舌と舌とで絡ませ合った。苦しいほどに貪るキスで、たまの息継ぎで数ミリ離れるだけの時間が続き、やっと離れたときには太い唾液の糸が数センチにわたって引いていた。
「ふぉっふぉっふぉ」
 老魔の勝ち誇った微笑みは、大国の将でも討ち取ったような大げさな喜びに満ち溢れ、その口から汚い唾液を垂らしてきた。
(よもや唾液まで飲ませるつもりか!)
 太い唾液の糸の力により、しっかりと吊るされたツバの塊は、必要以上にゆっくりと糸を伸ばして接近する。
(嫌だぁ……!)
 みるみるうちに迫る危機感から、やはり逃げる術など存在せず、狭霧の舌の上へと大きな唾液の塊が落ちてきた。
「ごくっ」
 喉の動きを操作され、すぐに飲み込む羽目となった。
「どうじゃ? どうじゃ?」
「……許さんぞ」
「許さんとな? 許さんとな? こんなに乳首を勃起させおって、どこにも説得力というものがありはせんのう?」
 老魔は楽しげに乳房を揉み遊び、狭霧は刺激から歯を食い縛る。
「んんんぅぅぅ!」
 喘ぎ声を出すまいと、せめて可能な抵抗だけでも必死にやり、唇を閉ざした顔で老魔を睨み返していた。
「アソコはどうかの?」
 老魔は下へ手をやって、指で秘所を撫で上げた。
「――んっ!」
 声を漏らすことなく狭霧は耐える。
「どうじゃ? どうじゃ?」
 どこまで我慢が続くか試そうと、老魔は巧みに愛撫して、瞬く間にアソコを濡らす。愛液を割れ目の周りに塗り広げ、突起した肉芽さえもに刺激を与える。
「んっ! んっ!」
 激しい刺激のたび、狭霧は髪を左右に振り乱した。
「気持ちいいのぅ? どうしようもないのぅ?」
「んん! ん! ん!」
 肉体操作の術だけではない。
 精液の媚薬効果がまわりきった今、指先の技術によっても操られ、クリトリスで弾ける快楽電流で髪を振る。
(なんて己の不甲斐無さだ!)
 膣に右手の指が挿入され、左手の指腹はクリトリスに置かれている。性器のポイント二つを同時に責められ、老魔の思うように髪を振り乱す狭霧は、自分がいかにコントロールされているのか深く実感していた。
(肉体操作だけではない。き、気持ちよさによってまで……!)
 感じていること自体を認めたくない狭霧にとって、きっと相手を細切れの肉片に変えてでさえも晴れないであろう屈辱が、胸の内側で途方もなく膨らんでいく。

「では挿入するかのう?」

 秘所に亀頭がぶつかるとき、その屈辱はさらに果てしなく増幅した。
「うわあああ! 己! 己ぇ!」
 貫かれると同時に狭霧は叫ぶ。
「ふぉっふぉ! 最高じゃのう! ワシは気持ちええぞい?」
 小刻みに腰を振りながら、老魔は狭霧の表情をよく覗き込む。顔の角度に肉体操作がかけられて、視線を重ね合わせるしかない狭霧は、悔しいあまりに表情筋の痙攣しきった恥辱まみれの顔つきで、最大の凶眼を向けていた。
「許さんぞ! 貴様だけは――あぁぁ! あうぅぅ!」
 老獪な肉棒の激しい出入りは、処女であろうとお構いなしに快楽を与えている。
「悔しいのう? 悔しいのう?」
「あぁぁぁ! うっ、ぬぁぁあぁああ!」
 もう我慢しきれない喘ぎ声が、大胆に喉の奥から溢れていた。
「ふぉっふぉ」
「あぁ! ああん!」
 膣壁を操作され、下腹部の力の限り肉棒を締め付ける。膨大な圧迫感の中を出入りして、弓なりとなる老魔の腰が、膣奥目掛けて肉矢を放つたび、狭霧の背中はビクンと跳ねた。
(肉体操作が……!)
 狭霧の反応を楽しむため、よがる身体の動きを見ようと術の力を弱めたのだ。
(も、もう少し! 腕が一瞬でも自由になれば、この距離のクナイで――)
 快楽に思考を奪われようとする中で、辛うじて逆転について浮かべる狭霧は、突かれながらも諦めない。
「んっ! んふぁ! はぁっ、ああん!」
 ピストン運動の腰がぶつかるたび、股を鳴らしたパンパンという音が響くばかりか、膣内で捏ね合わされた愛液とカウパーの混合物がニチュニチュと響いている。
「んん! んああ! おあっ、ああああ!」
 愛液は漏れ続け、布団はまるで子供がオネショをした跡のような有様へと変わっていく。
「さて、ためしに術を解いてみるかの」
 それは突如だった。
(何故? どうして自分から術を!?)
 否、考える暇など無し。
 チャンスと見るや霊気を固めて具現化させたクナイを投げる。

「ああん!」

 この喘ぎは、投げると同時だった。
 ――カランッ、
 と、力の抜けた腕の先から、標的に刺さることなくこぼれたクナイは、岩の地面に転がり落ちて金属音を立てていた。
「ふぉっふぉ! 無駄じゃ無駄じゃ、逆転などできまいて」
「貴様は初めから!?」
「気付いておったて。傑作じゃのう? こうして逸物が入っておれば、お主の肉体など操作せんとて快楽によって操れるわい!」
 自信たっぷりに証明しようと、老魔は狭霧の腰を掴んでペースを速める。
「んぁぁぁあああ! うああ! うわぁあああ!」
 そして――

 一瞬にして上り詰め、雨野狭霧はイっていた。

 果てた狭霧は、両腕を大の字のように投げ出して、全力疾走直後の息切れを整えるような大きな呼吸で乳房を上下させている。
「完全にお主の負けじゃのう?」
 腰の動きは停止するが、肉棒は根元まで埋まったまま、老魔は勝ち誇って狭霧の表情を覗き込む。
「くぅ……」
 狭霧には何も返す言葉が無い。
「どうじゃ? お主、ワシのペットになるっちゅうなら、毎日のような快楽を約束したっても構わんぞえ?」
「……ふざけるな」
「ほっほっほ! 気の強いことはええことじゃ!」
 ピストン運動が再開され、ゆったりとした責めが甘い痺れを広げていく。

 ――ニチュ、ネチュ、ヌチュ、クチュ。

 粘液の音がこだまして、洞窟の置くまで反響する。
(私はこいつに勝てないのか……決して……)
 それでも、心まで屈したりはしない。
 自分の折れない心を証明したいばかりに、狭霧は鋭い眼差しで睨み返した。老獪な微笑みと狭霧の凶眼が重なり合うまま性交の時間は続いていき、その女体は延々とピストンに揺らされていた。

 快楽などには屈しない!
 絶対に!

 決意の中で犯され続け、老魔が満足しきるまで、狭霧は最後まで睨む目つきであり続けた。時には感じた女の何かを我慢した表情になりながら、本当の意味では瞳を崩さず、屈せずにいることだけを目的に恥辱を耐えた。

 この日の老魔は満足した。
 だが、明日の狭霧は快楽に堕ちるか否か。
 その時にならなければ、まだわからない。

 


 

 

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